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KNOW-HOW

営業KPIの設定方法と管理のコツ|詰めずに数字を追わせる仕組み化

#営業チーム育成

営業KPIを設定したのに、現場が数字に追われるだけで疲弊してしまう。

あなたの営業組織も思い当たる点はありませんでしょうか?

月末に未達成の部下を厳しく問い詰めても、翌月また同じ数字を追いかけ直すだけで、根本的な改善にはつながりません。

必要なのは精神論ではなく、行動が自然と積み上がる仕組み。

この記事では、詰めずに数字を追わせる営業KPIの、正しい設定方法と管理のコツを紹介していきます。

岡哲也
株式会社インビクタス 代表取締役
岡 哲也 OKA TETSUYA

東京工業大学卒業後、博報堂を経てプルデンシャル生命保険にて4年連続MDRT会員。営業所長・支社長としてマネジメントも経験し、育成メンバーの約60%をMDRT会員に育成。2019年、営業を科学することに特化した株式会社インビクタスを創業。

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営業KPIの基本|KGI・ノルマとの違いを整理する

役割を取り違えたまま営業KPIを運用すると、数字はすぐに形骸化してしまいます。

まずは、KPI設計の土台となる基本的な考え方を押さえておきましょう。

  • KGIとKPIの役割の違いを理解する
  • ノルマとKPIの違いを取り違えない
  • 自社の営業プロセスを4〜5段階に分解する

3つの基本を、順を追って解説します。

KGIとKPIの役割の違いを理解する

KGIは売上や契約数といった最終成果を指し、KPIは成果にたどり着くまでの行動を測る指標。

契約という結果自体を、営業担当者が直接コントロールすることはできません。

コントロールできるのは、アポイント数や訪問数といった自分自身の行動量だけです。

弊社の考えとしては、特別なセンスを持たない新人でも成果を出せる再現性をつくることを、KPI設計の目的に据えています。

ノルマとKPIの違いを取り違えない

会社から課される「ノルマ」は、人件費や固定費を回収するための最低ラインに過ぎません。

ノルマが達成できずに悩んでいる方は、以下の記事も参考になります。

>>【関連記事】営業ノルマが達成できない理由6選と実践的な解決策

対してKPIは、営業担当者自身が望む将来のために、自分で逆算して設計する行動計画だと位置づけられます。

「ノルマ=やらされる義務」ではなく「KPI=望む未来を手に入れる行動計画」と捉え直すこと。

マインドセットを変えるだけで、数字への向き合い方は根本から変わります。

自社の営業プロセスを4〜5段階に分解する

KPIを設定する前に、自社の営業プロセスを分解しておきましょう。接点づくり・初回面談・提案・クロージング・紹介という4〜5段階に分けるのが目安です。

インビクタスでは、カレンダーの予定を「書法(新規開拓)」「裁縫(追客)」「契約」「その他(事務)」のように色分けします。行動が偏っている段階が、一目で分かる仕組みです。

段階を分解しないまま指標を決めると、実態とかけ離れた数字を追わせることになりかねません。

受注に直結する指標だけをKPIに絞り込む

追う数字が多すぎると、現場は何を優先すべきか分からなくなってしまいます。

受注に直結する指標だけに絞り込む考え方を整理します。

  • 受注貢献度の高い指標から選び、逆算する
  • 追う指標は3〜5個までに絞る
  • ボトルネック工程だけに指標を絞る

絞り込みの基準を、具体例とともに見ていきましょう。

受注貢献度の高い指標から選び、逆算する

「10件面談すれば6件が商談に進み、うち8割が成約する」という自分自身の確率を、まず把握しておきましょう。目標から逆算すれば、必要な商談数が見えてきます。

たとえば目標売上が300万円、平均単価が50万円なら、必要な成約数は6件です。成約率が8割なら、必要な有効商談数はおよそ8件です。商談化率が6割なら必要な面談数はおよそ14件と、数字を追うほど具体的な行動量に落とし込めます。

弊社インビクタスの代表である岡哲也も動画発信の中で、PDCAを回すうえで最も注視すべき数字として「初回訪問数」を挙げているほどです。

受注貢献度の高い指標を最優先に選び、逆算する順番を間違えないようにしましょう。

追う指標は3〜5個までに絞る

指標が多すぎると、現場の脳のメモリはすぐにあふれ、行動自体が鈍くなってしまいます。

インビクタスでは、日々の活動管理の指標を絞り込むのが基本です。「新規アプローチ数(書法)」「追客面談数(裁縫)」「契約・申込数」「紹介依頼数」など、3〜5個の主要指標だけを追わせることを鉄則としています。

先行指標(行動量)と遅行指標(契約件数)をセットで確認すれば、結果が出ない時期でも次の一手が見えてくるはずです。

ボトルネック工程だけに指標を絞る

チーム全体の平均値だけを眺めていても、個々の課題は見えてきません。

大切なのは、部下ひとりひとりが購買心理のプロセスでつまずいている段階を見極めることです。そこだけを、ピンポイントで指標に設定しましょう。

売れない営業担当者ほど、新規のテレアポを避け、関係のない事務作業でカレンダーを埋めがちです。マネージャーは「今の行動は本当に受注に効いているか」を厳しく見極める必要があります。

現場が自分ごとにするKPIの決め方

上から一方的に降ろされた数字は、現場にとって単なる義務にしか映りません。

現場が主体的にKPIを追いたくなる仕掛けを紹介します。

  • 逆算をメンバー自身にやらせる
  • 個人の実力・経験に応じて指標を変える
  • 言い訳を先回りして数値化し、届く水準を設定する

工夫のポイントは、次の3つ。

逆算をメンバー自身にやらせる

インビクタスでは、まず個人の欲求を、時間をかけて言語化させます。「今の仕事を通じてどんな年収にし、どんな暮らしを実現したいか」を掘り下げていきます。

欲求を叶えるために必要な粗利を計算し、月間・週間で何件のアポイントが必要かを部下自身に逆算させるのです。

上司が数字を渡すのではなく、部下自身に数字を導かせる。

順番の違いが、当事者意識の差を生みます。

個人の実力・経験に応じて指標を変える

組織には上位2割のエース、中位6割のミドル層、下位2割のボトム層がいるといわれます。全員に一律の数値を追わせるのは非効率です。

エース層には、後進育成の実績や商談化率のさらなる向上など、一段上の指標を任せましょう。中位6割のメンバーには、下位2割の「バディ役」としてロールプレイング指導を任せましょう。教える側のスキルと達成意欲も、大きく高まります。

新人にはまず、毎朝の出勤時間や台本の丸暗記といった土台をつくる指標を与えましょう。中堅には紹介依頼数や追加提案数を追わせるなど、段階に応じて指標を切り替えます。

新人の目標設定の具体例は、以下の記事でも紹介済みです。

>>【関連記事】新人営業の目標設定を具体例で解説|売上を確実に上げる設定方法とコツ

言い訳を先回りして数値化し、届く水準を設定する

若手営業が使いがちな逃げの言葉が「アポ調整中です」という一言。

「あと何日連絡が無ければ失注とみなすか」を、先に数値で決めておきましょう。言い訳が出た時点ですぐに判定し、新規アポイントの予定に切り替えられます。

到底届かない目標は成功期待感を失わせ、部下は自分の夢を勝手に下方修正してしまいます。過去の実績から逆算した「頑張れば届く」現実的な水準を設定することが欠かせません。

成功期待感を高める考え方は、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

>>【関連記事】営業のモチベーションを爆上げ!成功期待感を高める11の戦略

KPIを形骸化させない可視化と会議運用

優れたKPIを設計しても、日々の運用で忘れられ、詰める会議になってしまえば意味がありません。

可視化と会議運用の工夫をまとめます。

  • 目標をラミネート加工して手元に置く
  • 忘却曲線を踏まえて週次で可視化する
  • 声に出させて記憶と責任感を持たせる
  • 詰めずに1on1・会議を運用する

4つのポイントを、順番に押さえていきましょう。

目標をラミネート加工して手元に置く

岡自身が実践していたノウハウがあります。短期・中期・長期の目標を紙に書き出し、ラミネート加工して洗面所に置くという方法です。

毎朝の歯磨きのタイミングで自然と目に入る仕組みをつくったところ、目標が驚くほど高い確率で達成されました。

物理的に手元や目に入る場所へ目標を置くだけで、意識の持続力は大きく変わるのです。

忘却曲線を踏まえて週次で可視化する

心理学者エビングハウスが示した忘却曲線によれば、人は1週間もすれば記憶の多くを失うといわれています。

月初にKPIを設定しても、月1回の会議で確認するだけの管理では、部下は日々の業務の中で目標を見失ってしまうものです。

だからこそ、KPIの可視化と進捗チェックは、必ず1週間単位のサイクルで回すことが欠かせません。

声に出させて記憶と責任感を持たせる

会議の本題に入る前に、自分の年間・月間目標を全員の前で声に出させる仕組みがあります。同様の仕組みは、大手企業でも広く実践されているものです。

洗面所のラミネートと違い、オフィスの壁に貼るだけでは風景の一部になってしまいます。だからこそ朝礼やチームミーティングの場で「今週の自分のKPIと現在地」を本人の言葉で語らせましょう。

同僚の前で自分の口から発するという一手間が、紙に書くだけでは生まれない責任感を作ります。

詰めずに1on1・会議を運用する

未達成の部下に「なぜやらないんだ」と過去の行動を問い詰めるのは避けましょう。「つまずいている工程はどこか」を一緒に考える姿勢に切り替えることが大切です。

1週間単位のチェックでは、最終的な売上の数字だけでなく行動の量と質の変化を確認しましょう。1on1の冒頭では、部下自身に「今週の目標」「現在の達成状況」を宣言させます。

チーム全体会議では、個人の順位付けをしません。工夫や努力のプロセスを称え合う場にすることで、適度なライバル関係が自然と生まれるでしょう。

営業KPIが未達だったときの立て直し方

しっかりと仕組みを整えても、未達が起きる月は必ずあります。

立て直しの具体的な手順をお伝えします。

  • 原因を「量」「質」「タイミング」に切り分ける
  • 一時的に水準を下げる基準を決めておく
  • エース社員の型を共有し、猶予期間を合意する

原因ごとに、具体的な対処法を確認しましょう。

原因を「量」「質」「タイミング」に切り分ける

未達の原因は「量」「質」「タイミング」の3つに切り分けられます。行動量そのものが足りない「量」、台本の暗記度や切り返しトークに課題がある「質」、購買心理を見誤って提案のタイミングがずれる「タイミング」の3つです。

3つの視点に分けて原因を特定できれば、次の一手も自然と絞り込まれていきます。

一時的に水準を下げる基準を決めておく

2週間続けて行動量ゼロが続くなど、成功期待感が著しく下がってしまった部下には、無理に高い水準を課し続けても逆効果。

そんなときは、なぜ今の仕事をしているのかという根本の欲求を、一度膝を突き合わせて整理し直しましょう。行動できるレベルまで小さく再設定した目標で、成功体験を積ませることが有効です。

トップセールスの型を共有し、猶予期間を合意する

トップ営業の感覚や我流に頼りきりの組織は、いずれ限界を迎えます。

トップセールスの優れたアプローチやクロージングトークを分解し、共通のトークスクリプトに落とし込みましょう。チーム全員でロールプレイ練習すれば、未達メンバーの巻き返しにつながります。

未達が続く部下には、猶予期間を無期限に与えるのではなく、面談の場で次のアポイントと確認日を即座に合意しておきましょう。

営業KPIを継続的に運用する仕組み化のコツ

KPIは、設計して終わりではありません。

最後に、継続運用のための実践的なコツをお伝えします。

  • 高額なツールが無くても運用できる仕組みを作る
  • 指標の定義を1枚にまとめてぶれを防ぐ
  • マネージャーも公開し、成功体験を資産にする

3つのポイントを一つずつ押さえましょう。

高額なツールが無くても運用できる仕組みを作る

高額なSFAやCRMツールが無くても、オフィスのホワイトボードや手書きの日報、手帳やカレンダーで運用は十分に可能です。

重要なのは、ツールの高度さではなく、毎日・毎週全員の目に入る可視化の仕組みがあるかどうかです。毎月の月初には、前月の達成率を踏まえて当月のKPIを見直すレビューの場を固定で設けましょう。

指標の定義を1枚にまとめてぶれを防ぐ

「何をもって有効商談とするか」「何をもって見込み客とするか」の定義がぶれると、KPI運用自体が崩壊してしまいます。

購買心理の段階に沿った「セールスマップ」を、1枚の共通シートとして作成しましょう。チーム全員が同じ定義・同じルールで、数値を記入・報告できる環境を整えます。

セールスマップ作成の土台となる、購買心理については以下の記事で解説しています。

>>【関連記事】買いたいと思わせる心理学!トップセールスが使いこなす購買心理を解説

マネージャーも公開し、成功体験を資産にする

管理職は、自分自身の労働量や情熱という「背中」を部下に見せ続けましょう。自分の目標や行動管理もオープンにする見本として振る舞う姿勢が欠かせません。

エース社員の型や日々の振り返りは、単発で終わらせずフォルダやボードに蓄積することが欠かせません。「科学的な型を徹底すればKPIは達成できる」という共通言語が、チームに根づいていきます。そうなれば、上司が細かく指示しなくても組織は自走を始めるでしょう。

まとめ:営業KPIは詰めるのではなく、仕組みで追わせる

営業KPIの運用を成功に導く要諦は、個人の能力に頼らない再現性ある仕組みづくり。

結果の数字だけを追い求めて部下を詰めても、疲弊と離職を招くだけで終わってしまうでしょう。

購買心理に基づいたセールスマップを軸に、行動プロセスを客観的に管理する体制を整えていきましょう。

営業マネージャーに求められる役割全体は、以下の記事で体系的に解説しています。

>>【関連記事】営業管理職の7つの役割と成果を出す4つの能力

正しく設計した営業KPIは、詰めなくても現場が自然と数字を追いかける原動力になります。

型づくりに悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。

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