営業会議がムダと言われる原因と、終わると意欲が湧く会議の進め方
営業会議が終わると、メンバーの表情がどこか重い。
数字の確認と「今月もがんばろう」で締める会議を、毎回くり返していないでしょうか。
営業会議は、進め方ひとつでチームの士気を下げる場にも、翌日の行動を変える場にもなります。
インビクタスが掲げる会議のゴールは、「終わったときに意欲に満ちていること」です。
最後まで読めば、次の会議から試せる準備と進め方の型が手に入ります。
東京工業大学卒業後、博報堂を経てプルデンシャル生命保険にて4年連続MDRT会員。営業所長・支社長としてマネジメントも経験し、育成メンバーの約60%をMDRT会員に育成。2019年、営業を科学することに特化した株式会社インビクタスを創業。
プロフィール詳細を見る →営業会議とは?何のために集まるのかを最初にそろえる
営業会議の目的を、メンバーに一言で説明できるでしょうか。
営業会議とは、営業部門のメンバーが集まり、目標に向けた現状と次の行動をすり合わせる場のこと。
数字を確認するだけなら、資料を配れば済む話。
全員が集まる会議で押さえたいことは、次の3つです。
- 営業会議は、チームの次の行動を決める場
- 会議のゴールを「終わったときに意欲に満ちている状態」に置く
- 全員が顔をそろえる会議は、売れていない人の居場所にもなる
3つとも、資料を配るだけの報告会では実現できないことです。
営業会議は、チームの次の行動を決める場
会議の時間の大半が、先月の数字の振り返りで終わってしまう。
過去の数字は、いくら眺めても変えられません。
営業会議で決めるべきは、次の1週間や1か月で、誰がどんな行動を起こすかです。
報告を聞く場ではなく、未来の行動を決める場。
会議の役割を「報告」から「行動を決める」へ置き直すだけで、時間の配分が変わっていきます。
具体的な決め方は、後半の進め方で詳しく取り上げます。
会議のゴールを「終わったときに意欲に満ちている状態」に置く
弊社代表の岡哲也がTikTokの動画で語っているのが、会議のゴールの置き方です。
数字の詰めだけの会議では、メンバーが出たくなくなり、かえって生産性が下がると岡は指摘します。
岡が目指すのは、会議が終わった瞬間にメンバーが「よし、今日こそやるぞ」と思えている状態です。
インビクタスが研修でお伝えしている会議のメインテーマも、メンバーのやる気を高めることにあります。
意欲が高まったメンバーは、会議室を出た足で電話を手に取るもの。
全員が顔をそろえる会議は、売れていない人の居場所にもなる
営業は、お客様に断られ続ける仕事です。
しかも外回りは、1人で動くことが多い。
孤独を感じやすい職種といえます。
とくに売れていないメンバーほど、社内に居場所がないと感じやすいもの。
全員がそろう営業会議は、「自分には仲間がいる」と感じてもらえる数少ない機会なのです。
仲間やライバルと顔を合わせる場は、残しておきたいところ。
苦しい時期を乗り越える力は、同じ目標を追う仲間の存在から生まれます。
数字の詰めと精神論で終わる営業会議が、チームの足を止める
「うちの営業会議はムダだ」と、メンバーが陰で口にしていないでしょうか。
ムダと言われがちなのは、未達のメンバーを全員の前で問い詰め、最後は精神論で締める会議です。
強い恐怖を与えられると、人は萎縮してかえって動けなくなるもの。
詰めと精神論の会議が引き起こす問題は、次の4つです。
- 叱られないために、見込みの数字が甘く盛られる
- 未達の言い訳に時間が消え、次の打ち手まで話が届かない
- 会議の前日から気が重くなり、行動量が落ちる
- 「がんばります」の一言では、次の行動が決まらない
管理職に悪気がないまま起きている点が、やっかいなところです。
叱られないために、見込みの数字が甘く盛られる
詰められる会議が続くと、メンバーは身を守るための報告を覚えていきます。
よくあるのが、次回のアポイント(商談の約束。以下アポ)を「調整中です」とぼかす言い方。
実際には3回続けて連絡が返ってこない案件でも、「見込み」として報告されることがあります。
叱られたくない一心で、実態より甘い数字が会議に上がってくる。
正しい数字が上がらない会議では、正しい打ち手も決められません。
責めるべきはメンバーではなく、数字を盛らせる会議の空気でしょう。
未達の言い訳に時間が消え、次の打ち手まで話が届かない
「なんでできなかったんだ」
過去を問い詰めると、メンバーは自分が悪くなかった理由を説明し始めます。
市場が悪かった、お客様のタイミングが合わなかった。
管理職が追及し、メンバーが弁明する。
追及と弁明のやりとりだけで、会議の時間は過ぎていきます。
本来話し合うべき「次はどうすればできるか」まで、話がたどり着かないのです。
問いを「なぜできなかったのか」から「次はどうするか」へ変える。
会議の空気は、問いの立て方で大きく変わります。
会議の前日から気が重くなり、行動量が落ちる
数字の詰めが及ぼす影響は、会議の時間だけにとどまりません。
結果が出ていない時期に「明日の会議でまた吊るし上げられる」と分かっていたら、どうでしょうか。
前日から憂うつになり、外回りの足も重くなります。
喫茶店にこもって「転職したほうがいいのか」と悩み始めるメンバーもいるほど。
電話の本数も、訪問の件数も落ちていく。
数字を上げるための会議が、数字を下げる原因になっているのです。
「がんばります」の一言では、次の行動が決まらない
「今月もがんばれ」
「はい、がんばります」
精神論の掛け声で終わる会議は、一見まとまったように見えて、何も決まっていません。
いつ、誰に、どんなトークで、何件のアポを取るのか。
具体的な行動の約束まで落とし込まない「がんばります」は、ただのあいさつと同じです。
管理職が一方的に話すだけの会議では、メンバーは「がんばります」と答えるほかありません。
会議の前に、管理職が「今日のゴール」を決めて準備する
会議の良し悪しは、始まる前の準備でほぼ決まります。
議題を並べるだけの準備では、報告会から抜け出せません。
管理職が先に決めておきたいのは、会議を通じてメンバーをどんな状態にしたいか。
- 会議が終わったとき、メンバーにどんな気持ちでいてほしいかから決める
- 会議で渡すものを「役に立っている実感・自信・すぐ使えるトーク」の3つに絞る
- 管理職自身が、誰よりも前向きな姿で会議に臨む
3つの準備はいずれも、メンバーが前向きな気持ちで会議を終えるためにあります。
会議が終わったとき、メンバーにどんな気持ちでいてほしいかから決める
準備の出発点は、議題ではなく会議のゴールです。
インビクタスでは、終わり方から逆算して会議の時間を組み立てるようお伝えしています。
逆算すると、削る時間と残す時間がはっきり分かれます。
- 削る時間:全員の前で未達を責める時間
- 残す時間:うまくいった商談を振り返る時間、がんばった人を認める時間、次の行動を決める時間
未達の詳しい確認は事前の資料や個別の面談で済ませ、全員の前では扱いません。
何を話すかより先に、どう終わるかを決めましょう。
会議で渡すものを「役に立っている実感・自信・すぐ使えるトーク」の3つに絞る
議題を詰め込みすぎると、一つひとつの話が中途半端に終わります。
インビクタスでは、営業会議でメンバーに必ず渡すものを次の3つに絞っています。
- 自社のサービスが、お客様の役に立っているという実感
- 「あなたたちならできる」という自信
- 現場ですぐ使える具体的なセールスアイデアやトーク
1つ目を伝えるときは、会社や部が目指す先と、一人ひとりの日々の営業のつながりを話すと効果的です。
自分の電話1本が、会社の大きな目標のどこに効いているのか。
つながりが見えると、メンバーの心の中の言葉が変わります。
「自社のサービスは、お客様の役に立っている。早く届けに行きたい」
2つ目の自信は、会議の最後に贈る前向きな一言で渡せます。
3つ目のトークは、商談のロープレ(営業の場面を想定した練習)で渡すもの。
3つがそろった会議なら、メンバーは意欲と武器の両方を持って現場へ出られるでしょう。
管理職自身が、誰よりも前向きな姿で会議に臨む
準備の最後は、管理職自身の姿勢です。
「情熱は、高いところから低いところにしか流れない」
インビクタスが、管理職の方々にお伝えしている言葉です。
インビクタスでは、管理職が100の熱量で臨んでも、メンバーに届くのは70〜80程度だとたとえています。
熱量を伝えられるのは、今の姿だけ。
「自分が若いころは」と過去の実績を語っても、メンバーの心は動きません。
今まさに誰よりも働き、明るく前向きに会議へ臨む。
チームを引っ張るのは、管理職自身の背中です。
営業会議の進め方|報告・話し合い・決定・送り出しの順で進める
議題が決まっていても、進め方しだいで会議は報告会に戻ってしまいます。
「報告」「話し合い」「決定」「送り出し」の4段階で考えると、流れがすっきり整理できます。
目安の一例として、週1回・60分の会議なら次のような配分です。
報告10分、話し合い(商談の振り返りとロープレ)30分、決定(次の行動を決める時間)15分、送り出し5分。
- 数字の報告は手短に済ませ、話し合いに時間を回す
- うまくいった商談を1件取り上げ、全員でロープレする
- 会議が終わる前に、全員のやることリストを埋める
- 締めは前向きな一言で、全員を現場へ送り出す
配分は、チームの人数や商材に合わせて調整してください。
数字の報告は手短に済ませ、話し合いに時間を回す
会議の冒頭では、今日のゴールと議題を全員に伝えます。
着地点が見えていれば、メンバーは話の途中で迷いません。
続く報告は、できるだけ短く済ませたいところ。
扱うのは、チーム全体の数字と、前回宣言した行動を実行できたかの確認くらいで十分です。
売上や行動量の数字は、週次の行動予定表や事前に提出してもらうシートで、会議の前に分かる状態にしておきます。
1人ずつ数字を読み上げる時間は要りません。
浮いた時間は、商談の振り返りとロープレに回しましょう。
報告の前提になる数字の決め方と追い方は、以下の記事で解説しています。
>>【関連記事】営業KPIの設定方法と管理のコツ|詰めずに数字を追わせる仕組み化
うまくいった商談を1件取り上げ、全員でロープレする
話し合いの時間で扱いたいのが、うまくいった商談の振り返りです。
ただし、「〇〇さんが契約を取りました」という報告だけでは、ほかのメンバーが真似できる学びが残りません。
大切なのは、「なぜ買っていただけたのか」「お客様のどんな気持ちが動いたのか」まで分解すること。
分解した内容は、誰でも真似できるトークの台本に落とし込みます。
台本は、会議の前に管理職と契約を取った本人で下書きしておくと、当日はロープレに時間を使えます。
会議の中で、全員に台本どおりのロープレをしてもらいましょう。
ロープレの具体的な手順は、以下の記事で紹介しています。
>>【関連記事】営業ロープレ(ロールプレイング)とは?|実施手順と成功のコツ
個人のやり方に頼っている組織には、再現性が生まれません。
売れた人のトークや反論への返し方を、チーム共通の型として残していく。
営業会議は、チームの型を育てる場でもあるのです。
会議が終わる前に、全員のやることリストを埋める
終わったときの意欲を、目に見える形にしたものがやることリストです。
インビクタスでは、会議が終わった直後に全員のやることリストが埋まっている状態を、会議の成功と考えています。
会議の終盤は、次回のアポや連絡の予定を、一人ひとりが自分の口で宣言する時間。
「明日の午前中に、A社へ提案日程の連絡を入れます」
管理職が決めて渡すより、本人が言葉にした約束のほうが実行されやすいもの。
宣言した内容は、会議中に本人のやることリストと議事録へ書き込んでおきましょう。
翌週の会議の冒頭で実行できたかを確かめれば、決めたことが放置されずに済みます。
実行できていなかった人を責める必要はありません。
「次はいつやるか」を本人に決め直してもらえば十分です。
宣言と確認のくり返しが、次の会議までの成果を左右するのです。
締めは前向きな一言で、全員を現場へ送り出す
人の気持ちは、最後にかけられた言葉に大きく左右されます。
中身の濃い会議でも、最後が小言で終われば、メンバーの頭に残るのは小言だけ。
行動が決まった後だからこそ、励ましの言葉が生きてきます。
締めくくりには、管理職から前向きな一言を贈りましょう。
「あなたたちなら、絶対にできる。いってらっしゃい」
送り出す言葉ひとつで、会議室を出るメンバーの足取りは変わります。
メンバーが「出たい」と思う営業会議にする2つの工夫
出なければいけない会議を、出たい会議に変えられたら理想的でしょう。
岡の動画やインビクタスの研修で紹介されている工夫から、具体例を2つ取り上げます。
- 売上に関係なく「今月素敵だった人」を投票し、投票理由をすべて読み上げる
- 結果が出ていなくても、行動を変えた1人にスポットを当てる
共通しているのは、売上の数字とは別の角度から、一人ひとりに光を当てている点です。
売上に関係なく「今月素敵だった人」を投票し、投票理由をすべて読み上げる
1つ目の具体例が、月に1回の投票です。
売上の数字とは関係なく、「今月素敵だった人」を投票で選びます。
岡が紹介している例では、集まった投票理由をすべて読み上げます。
たとえば、次のような理由が読み上げられる場面を想像してみてください。
「お客様からの電話に、誰よりも早く折り返していた」
「落ち込んでいた私に真っ先に声をかけてくれて、救われた」
売上ランキングでは光が当たらないがんばりが、仲間の言葉で本人に届きます。
投票する人が理由を書くときは、自分を主語にした言い方がおすすめ。
「〇〇さんががんばってくれて、私はすごく嬉しい」
評価ではなく感謝として伝わるので、受け取る側の心に残りやすくなります。
投票と読み上げは、月末の会議だけ送り出しの時間を延ばして行う形でも構いません。
結果が出ていなくても、行動を変えた1人にスポットを当てる
会議で紹介されるのは、売れている人ばかりになっていないでしょうか。
インビクタスが勧めているのは、結果が出ずに苦しみながらも、行動を変えようとしている人にスポットを当てることです。
商談のお礼状を当日中に出した、ロープレを5回くり返した、といった小さな変化で構いません。
管理職が小さな変化を拾い上げ、会議の場でチームに紹介する。
岡も動画の中で、会議でメンバー一人ひとりにスポットを当てる大切さを語っています。
毎回1人ずつ取り上げていけば、やがて全員に光が当たります。
「見てもらえている」という実感は、離職を防ぐ力にもなるはずです。
若手の離職を防ぐ組織づくりは、以下の記事も参考になります。
>>【関連記事】なぜ若手セールスパーソンほど辞めるのか?定着率を上げる5つの組織改革
誰にスポットを当てるかは、会議の前に決めておくと当日慌てずに済むでしょう。
まとめ|営業会議のゴールは、終わったときの意欲で決まる
営業会議がムダと言われる原因は、数字の詰めと精神論で終わる進め方にあります。
見直すべき要点は、次の3つです。
- 会議のゴールを「終わったときに意欲に満ちている状態」に置き、逆算して準備する
- 数字の報告は手短にし、商談の振り返りと次の行動の宣言に時間を使う
- 売上とは別の角度から、一人ひとりにスポットを当てる
会議が変われば、メンバーの翌日の行動が変わり、やがて組織全体が変わっていきます。
営業管理職に求められる役割の全体像は、以下の記事で解説しています。
>>【関連記事】営業管理職の7つの役割と成果を出す4つの能力
営業会議の見直しや管理職の育成に悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。