営業1on1ミーティングで使える質問例20選|部下の成長を引き出す進め方
「営業1on1ミーティングで何を話せばいいか分からない」。
そう悩む営業マネージャーは、決して少なくありません。
導入したものの雑談で終わってしまったり、進捗確認だけの「詰め会」になってしまったりする組織を、数多く見てきました。
本記事のテーマは、営業1on1ミーティングの正しい進め方と、現場で使える質問例、そして避けるべきNG行動。
読み終えるころには、明日の1on1からすぐ使える具体的な型が手に入るはずです。
東京工業大学卒業後、博報堂を経てプルデンシャル生命保険にて4年連続MDRT会員。営業所長・支社長としてマネジメントも経験し、育成メンバーの約60%をMDRT会員に育成。2019年、営業を科学することに特化した株式会社インビクタスを創業。
プロフィール詳細を見る →営業1on1ミーティングとは?普通の1on1と何が違うのか
「1on1さえ導入すれば大丈夫」と考えている営業マネージャーは、決して少なくありません。
営業1on1ミーティングとは、上司と部下が定期的に1対1で行う対話の時間のこと。
人事評価や単なる進捗報告とは、目的が根本から異なります。
- 人事評価面談・進捗報告会議との違い
- 営業組織で1on1が必要とされる背景
- 導入することで得られる3つの効果
営業という特殊な現場だからこそ、目的の違いを理解しているかどうかで、1on1の成果は大きく変わってきます。
人事評価面談・進捗報告会議との違い
営業における1on1は、今月いくら売れたかを確認する冷たい進捗報告会議ではありません。
営業管理職が果たすべき役割は、結果が出ずに苦しんでいる担当者に居場所を作ること。
あわせて、次のアクションへ向かう適切な目標設定をサポートすることです。
営業組織で1on1が必要とされる背景
高額・無形な商材を扱う営業担当者は、断られ続けることが日常茶飯事です。
人は断られ続けると、自分の提案に自信を失い、モチベーションが消えてしまうもの。
放置すれば、優秀な人材ほど静かに離脱していきます。
孤独と自信喪失から部下を救う受け皿として、高頻度な1on1が欠かせないのです。
導入することで得られる3つの効果
営業1on1を正しく運用すると、主に3つの効果が期待できます。
- 部下の成功期待感が高まり、モチベーションが上がる
- 週次の定点観測によって、やり切る仕組み(PDCA)がチームに定着する
- 売れていないメンバーの居場所(存在承認)が担保され、早期離職を防げる
いずれも、単発の叱咤激励では得られない効果ばかり。
継続的な対話の積み重ねによって、初めて組織に根づいていきます。
モチベーション向上の具体的な戦略は、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
>>【関連記事】営業のモチベーションを爆上げ!成功期待感を高める11の戦略
営業1on1が成果につながらない組織に共通する原因
せっかく1on1を導入したのに、思うような効果が出ない、という相談もよく受けます。
1on1を導入しても、成果につながらない組織には共通点があります。
- 上司が話しすぎている(主役が部下になっていない)
- 数字の進捗確認だけの「詰め会」になっている
いずれも、1on1を制度として入れただけで、運用の質まで見直していない組織に共通する原因です。
上司が話しすぎている(主役が部下になっていない)
最高の営業とは、営業担当者が話すのではなく、お客様に100%話してもらうこと。
同じ発想は、1on1にも変わらず当てはまります。
主役はあくまで部下であり、上司は問いかける役に徹するべき。
話す割合の目安は、部下7割・上司3割程度を意識するとよいでしょう。
数字の進捗確認だけの「詰め会」になっている
過去の数字だけを管理し、できていない事実を詰めても、部下には謝罪の感情しか残りません。
「なぜやらなかったのか」と過去を責めても、部下は言い訳を用意するだけ。
上司がいら立ち、さらに詰めるという悪循環に陥ってしまいます。
「次はどうすればうまくいくと思う」と、未来の仮説を一緒に作る問いかけに変えてください。
営業1on1ミーティングの正しい進め方【4ステップ】
型を知らずに我流で1on1を進めると、部下との信頼関係を損ないかねません。
営業1on1ミーティングを成果につなげるための、具体的な進め方を紹介します。
- ステップ1:業務外の話題からアイスブレイクする
- ステップ2:商談・パイプラインの振り返りを部下主導で行わせる
- ステップ3:課題を一緒に言語化し、解決策は部下に考えさせる
- ステップ4:次回までの行動目標をすり合わせて締める
特別なスキルは必要なく、順番さえ守れば誰でも実践できる型です。
ステップ1:業務外の話題からアイスブレイクする
無理に共通の趣味を探す必要はありません。
普段から相手に強い関心を持ち、具体的な言葉で良いところを伝えることが有効とされています。
「頑張っているね」ではなく、「先週の提案資料、構成が分かりやすかった」のように、具体的な事実を伝えるのがポイント。
ステップ2:商談・パイプラインの振り返りを部下主導で行わせる
決まらなかった理由をお客様のせいにしているうちは、営業として成長できません。
部下自身に主導権を持たせ、自分の活動やトークにどんなボトルネックがあったかを、本人の視点で振り返らせてください。
ステップ3:課題を一緒に言語化し、解決策は部下に考えさせる
叱責の代わりに有効なのが、主語を「あなたは(You)」から「私は(I)」に変える「Iメッセージ」への言い換えです。
「なぜ今週アポを入れていないんだ」という言い方は、主語が相手になる「Youメッセージ」。部下を問い詰める言葉として伝わってしまいます。
一方「アポが1件も入っていなくて、正直心配なんだよね。どう思う」のように主語を自分にして気持ちを伝えると、部下は責められている感覚を持たず、自発的な反省に向かいやすくなります。
ステップ4:次回までの行動目標をすり合わせて締める
1on1の最後は、必ず次回までの行動目標を具体的なスケジュールに落とし込みます。
「頑張ります」で終わらせず、「いつ、誰に、何をするか」まで言語化させてください。
1週間後に上司が進捗を確認することも、1on1の場であらかじめ約束しておきます。
【営業特化】1on1ミーティングで使える質問例20選
質問の引き出しが少ないと、1on1は毎回同じような会話で終わってしまいます。
営業特有の課題に切り込む質問を、5つのテーマ別に紹介します。
- 商談・パイプラインの進捗を深掘りする質問
- 失注・クロージング(契約締結に向けた最終の働きかけ)の振り返りを促す質問
- モチベーション・メンタル状態を確認する質問
- スキル・成長課題を引き出す質問
- キャリア・将来像を確認する質問
手元に置いておくだけで、1on1の質が大きく変わる質問集です。
チームの状況に合わせて、言い回しを調整しながら活用してください。
商談・パイプラインの進捗を深掘りする質問
- 「調整中」になっている案件、相手から何回連続で返信がありませんか
- 手帳の予定に、商談以外の事務作業がやけに多く入っていませんか
- 新規のアポイント(商談の約束)は、先週と比べて増えていますか
- パイプライン全体を見て、いま手を打つべき段階はどこですか
失注・クロージングの振り返りを促す質問
- 今回の失注の原因が100%自分にあるとしたら、トークのどこを改善しますか
- 「検討します」と言われたとき、何往復くらいやり取りをして、最後はどう終えましたか
- 決裁者と話せていない商談は、いま何件ありますか
- 沈黙が続いた場面で、自分から話し出してしまいませんでしたか
モチベーション・メンタル状態を確認する質問
- 今扱っている商品やサービスの価値を、心から信じられていますか
- 最近、お客様や同僚に、どんな言葉で感謝を伝えましたか
- いま気になっていることは、仕事とプライベート、どちらにありますか
- 今の状態を、10点満点で表すと何点ですか
スキル・成長課題を引き出す質問
- 自分のロールプレイング(役割を演じて行う実践練習)動画を見て、意外だった点はありますか
- クロージングで沈黙を作った後、何秒くらい待てていますか
- 直近で真似したいと思った先輩の動きはありますか
- 次の1週間で、重点的に鍛えたいスキルは何ですか
キャリア・将来像を確認する質問
- 今の目標を達成した先に、どんな景色が見えていますか
- 今のチームで、あとどんな経験を積みたいですか
- 5年後、どんな営業担当者になっていたいですか
- 今月からできる小さな一歩は何ですか
営業1on1のアジェンダ・頻度・時間の決め方
1on1は、内容だけでなく運用ルールを決めておかないと長続きしません。
決めるべき頻度と時間をあらかじめ固定しておくことが大切です。
- 新人営業と中堅営業でアジェンダを変える考え方
- 週次・隔週・月次、頻度別のメリットとデメリット
- プレイングマネージャーが1on1の時間を捻出する方法
あらかじめ運用ルールを決めておくことが、1on1を形骸化させない一番の近道です。
新人営業と中堅営業でアジェンダを変える考え方
新人には、共通の台本(トークスクリプト)を徹底的に体に染み込ませることが優先されます。
一方、売上の大部分を支える中堅層には、高い目標設定をあらためて突きつける機会として1on1を使います。
さらに、下位層のメンバーにバディとして指導させる役割を担わせるのも効果的な方法。
週次・隔週・月次、頻度別のメリットとデメリット
営業活動を最大化するには、1週間単位での定点観測が望ましいとされています。
月次の頻度では、部下が自分の目標を忘れてしまい、活動が漂流しやすくなるためです。
隔週は、週次ほどの負担なく一定の緊張感を保てる、バランス型の頻度といえます。
チームの規模やマネージャーの稼働状況に応じて、無理のない頻度を選んでください。
プレイングマネージャーが1on1の時間を捻出する方法
プレイングマネージャーが自身の営業活動に多くの時間を割き、部下育成の時間が取れない問題は、多くの組織で起こりがちです。
解決の糸口になるのが、中堅層のメンバーに下位層のバディを組ませ、指導役を担わせる方法。
マネージャー自身がすべての1on1を抱え込む必要はありません。
1on1も含めた営業マネージャーのスケジュール管理術は、以下の記事で詳しく解説しています。
>>【関連記事】成功へ導く!営業マンのスケジュール管理術【営業管理職も必見】
営業1on1でやってはいけないNG行動
良かれと思って取った行動が、かえって部下を萎縮させてしまうケースもあります。
特に陥りやすい4つのNG行動を紹介します。
- 上司が一方的に答えを教えてしまう
- 他の営業と比較して詰める
- キャンセル・後回しを繰り返す
- フィードバックを1on1でまとめてぶつける
一つでも当てはまれば、見直しのサインです。
上司が一方的に答えを教えてしまう
「自分が若手のころはこう売った」という我流のやり方を押しつけても、論理的な納得感を求める若手には響きません。
購買心理に基づいた、科学的なアプローチを共通言語としてアドバイスする必要があります。
他の営業と比較して詰める
他のメンバーと比較して恐怖心やプレッシャーを与えても、若手は萎縮して動けなくなるだけです。
ライバル関係やバディ制度を導入する際は、互いを傷つけ合う道具にしてはいけません。
切磋琢磨してお互いを高め合う、ゲーム感覚の演出として提示したいところ。
キャンセル・後回しを繰り返す
「自分の商談が長引いたから」と1on1を簡単にキャンセルすることは、部下との約束を軽視する姿を見せているのと同じです。
だらしなさは、部下にも伝染します。
結果として、お客様とのアポイントキャンセルを許容してしまう、弱い営業担当者を育てることにつながるのです。
フィードバックを1on1でまとめてぶつける
マナー違反や嘘、遅刻といった人間教育に関わる指摘は、起きた瞬間に即座に伝えることが鉄則とされています。
1on1の場までまとめて溜めておくと、部下は「なぜ今さら」と受け止め、素直に聞き入れにくくなるためです。
まとめ
営業1on1ミーティングは、正しい型さえ身につければ、決して難しいものではありません。
- アジェンダを整え、部下主導で振り返らせる
- 詰めるのではなく、未来志向の問いかけで行動を引き出す
- 次回までの行動目標を具体的なスケジュールに落とし込む
3点を徹底するだけで、営業1on1ミーティングを通じたチームの定着率と成果は、着実に変わっていくのです。
営業マネージャーに求められる役割全体は、以下の記事で網羅的に解説しています。
>>【関連記事】営業管理職の7つの役割と成果を出す4つの能力
営業1on1ミーティングの型づくりに悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。