営業に雑談(アイスブレイク)はいらない!成果を出すには相談力が必要

商談でお客様と話すとき、「まずは雑談(アイスブレイク)で場を和ませなければ」と思っていませんか?
実は、営業における雑談は必要ないどころか成果を妨げる可能性があります。
優秀なセールスパーソンほど、雑談力ではなく「相談力」で勝負しているのが実態です。
この記事では、なぜ営業で雑談がいらないのか、そして雑談に代わる戦略的なコミュニケーション術をお伝えします。
読み終える頃には、お客様との関係構築から成約まで、明確な道筋が見えるでしょう。
なぜ営業で雑談(アイスブレイク)はいらないのか
多くのセールスパーソンが「雑談で関係を築く」ことを重要視していますが、実際には逆効果になることがほとんどです。
雑談が営業に適さない理由は大きく3つあります。
- 練習していないことを本番で行うリスク
- 顧客の時間を軽視していること
- 関係性に対する根本的な勘違い
これらの問題を理解することで、なぜプロのセールスパーソンが雑談を避けるのかが明確になります。
練習していないことを本番でやるリスク
営業では台本(トークスクリプト)の練習が重要です。
しかし、雑談の練習をしているセールスパーソンはほとんどいません。
練習していないことを商談の場で突然行うのは、失敗のリスクが高いのです。
話が盛り上がらなかったり、相手の反応が悪かったりすると、その後の商談にも悪影響を与えかねません。
特に、お客様の趣味や関心事について知識が浅い場合、話が続かずに気まずい沈黙が生まれることもあります。
その結果、セールスパーソンへの信頼度が下がり、商談そのものが失敗に終わる可能性が高くなります。
プロのセールスパーソンであれば、練習を重ねた確実なトークで勝負すべきでしょう。
顧客の時間を軽視している
時給単価が高いお客様にとって、時間は貴重な資源です。
営業担当者が本題に入らず、どうでもいい雑談を続けることは、時間の無駄と感じられます。
「この人は私の時間を大切にしてくれていない」という印象を与えると、信頼関係の構築は困難になるでしょう。
関係性への勘違い
初対面の営業担当者とお客様は、必ずしも仲良くなりたいと思っているわけではありません。
共通点を見つけて親しくなろうとする雑談は、お客様のニーズとずれている場合があります。
お客様が求めているのは、友達ではなく信頼できるビジネスパートナーなのです。
雑談(アイスブレイク)に代わる「相談力」とは
雑談に代わってセールスパーソンが身につけるべきなのが「相談力」です。
相談力とは、お客様の潜在的な不満や不安を顕在化させ、課題解決への意欲を引き出すスキルのことです。
表面的な関係構築ではなく、お客様が抱えている本当の問題に焦点を当てることで、ビジネスパートナーとしての深い信頼関係を築くことができます。
相談力の核となるのは、お客様自身が気づいていない潜在的な不満や不安を特定し、認識・顕在化させることです。
例えば、「子どもの教育費が思ったより高くなっている」「万が一のときに家族の生活が維持できるか不安」「老後資金が本当に足りるのか心配」といった具体的な悩みを提示し、「当てはまる点はありませんか」と問いかけます。
お客様が「確かにそうだ」と感じた瞬間、解決策を求める状態に導けるのです。
この手法では、お客様自身の口から課題を語ってもらうことが重要です。
人は自分の言葉に最も影響を受けるため、セールスパーソンが一方的に問題を指摘するよりも、お客様自身に気づいてもらう方が効果的なのです。
そのためには、業界の一般的な課題を事前に研究し、お客様の状況に合わせて適切な問いかけを準備しておく必要があるでしょう。
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さらに成約に繋げる5つのコミュニケーションスキル
雑談に頼らない営業を実現し、成約率アップを狙うのであれば、さらに加えて5つのコミュニケーションスキルを習得すると良いでしょう。
- 褒める技術
- 第三者話法による本音の引き出し
- 映像化(ストーリーテリング)
- 小さなイエスを積み上げる手法
- 沈黙する技術
どのスキルも練習によって身につけることができ、営業成果に直結する効果があります。
雑談のような偶然に頼る手法とは違い、再現性の高い方法論として活用できます。
1. 褒める技術
具体的に「Iメッセージ」(「私は〜と感じました」)を使った褒め方は、お客様の心を開かせます。
お客様の仕事の速さや、判断力、考え方など、具体的な事柄を挙げて褒めることが効果的です。
この技術は、普段から周囲の人を褒める練習をすることで磨かれるスキルです。
重要なのは、お世辞ではなく本心から感じたことを伝えることです。
「○○様のその判断力の速さ、私も見習いたいと感じました」「そのお考えは非常に的確で、私も勉強になります」のように、相手の能力や思考を具体的に褒めることで、お客様は心を開きやすくなります。
ただし、練習なしに本番で行うと不自然になるため、日頃から意識的に練習することが大切です。
>>【関連記事】褒め上手な営業マンは売れる!お客様を褒める5つのコツ
2. 第三者話法による本音の引き出し
お客様の不満や不安を直接質問しても、本音が出にくい場合が多いものです。
一般論や似たような状況の人の話を引用して、「多くの人がこういっていますが、あなたはどう思いますか」と尋ねます。
お客様は自分の言葉に最も影響を受けるため、この方法で自ら不満や欲求を語らせることが重要です。
>>【関連記事】第三者話法とは?心理学的効果と営業での実践例を解説
3. 映像化(ストーリーテリング)
お客様に解決策が実現した未来の姿を具体的に想像させるために、「映像化」する話し方が重要です。
五感(音、匂い、感覚など)に訴える表現を使い、お客様にその状況を追体験してもらいます。
お客様の人生を「ジェットコースター」に乗せるように、不満や不安から解決後のポジティブな状態への変化を体験させます。
>>【関連記事】営業プレゼンで成果を出す! 成約に繋がる9つのコツ
4. 小さなイエスを積み上げる
最終的な大きな決断(成約)に至るまでに、お客様から小さな同意(イエス)を繰り返し積み重ねることが営業の基本です。
これは、お客様の心理的なハードルを段階的に超えてもらうための、意図的で計画的なプロセスです。
>>【関連記事】小さなYesを積み重ねる「イエスセット」とは?セールスにおけるポイント3選
5. 沈黙する技術
お客様の話がひと段落した際に、意図的に数秒間の沈黙を挟むことで、お客様が次に何を話すべきかを考えさせ、自然と本題へと意識を向けさせる効果があります。
沈黙は相手に思考の時間を与え、本音を引き出すきっかけとなります。
お客様から雑談を振られたときの対処法
セールスパーソン自身が雑談を避けても、お客様から雑談を振られる場面は必ずあります。
このような状況では、3つの対処法が有効です。
- 適切なタイミングで本題への切り替えを提案する
- 雑談の内容を課題発見につなげる橋渡しをする
- 相手を尊重しながら主導権を握る姿勢を示す
これらの手法をマスターすることで、相手を不快にさせずに本題へと誘導でき、どのような状況でも営業の主導権を握ることができます。
適切なタイミングで本題への切り替えを提案する
お客様が雑談を続ける中で、時折「そろそろ本題に入らせていただいてもよろしいでしょうか」「限られたお時間ですので、○○様の課題の解決に繋がるお話を優先させていただきたいのですが」といった形で、本題への移行を促します。
ただし、お客様の表情や話の流れをよく見て、失礼にならないタイミングで行うことが重要です。
この提案をするときは、お客様の時間を尊重している姿勢を明確に示すことで、プロフェッショナルとしての印象を与えることができます。
雑談の内容を課題発見につなげる橋渡しをする
お客様の雑談内容から、直接的な解決策をすぐ提示せずに、お客様自身の本音や潜在的な不満・不安を引き出します。
お客様自身が「マズいね」「いいね」といった感情を言葉にすることで、課題意識が高まり、雑談の内容を間接的に本題へと繋げることが可能です。
相手を尊重しながら主導権を握る姿勢を示す
雑談を完全に無視するのではなく、お客様の話に適度に相づちを打ちながら、徐々に営業の本題へと誘導する技術が必要です。
お客様を尊重しつつも、商談の目的を見失わない姿勢を保つことで、信頼できるビジネスパートナーとしての印象を与えることができます。
まとめ|雑談はいらない。真の相談力を習得しよう
まずは「営業で雑談はいらない」ことを受け入れ、戦略的なコミュニケーションスキルを身につけることが成功への道です。
お客様の不満や不安を顕在化させる「相談力」を軸に、褒める技術や第三者話法を駆使して本音を引き出す。
これらのスキルこそが、真の営業力なのです。
まずは業界の一般的な課題を研究し、お客様の潜在的な不安を引き出す問いかけを準備してみてください。
そして、お客様を具体的に褒める練習や、第三者話法を使ったロールプレイに積極的に取り組みましょう。
雑談に頼らない戦略的な営業スタイルで、あなたも必ず成果を出せるはずです。
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